【ブログ】チョコレートのおいしさはどこから?

17 5月 2019

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チョコレートのおいしさはどこから?    

チョコレートならではの芳醇な香り。フルーティー、ナッティー、ハーブ系の香りなど、香りはチョコレートの個性をつくるものです。その香りはどのように生み出されるのでしょうか?

チョコレートの香りを決める要素

チョコレートの香りを決める三大要素は、①カカオの原産地 ②カカオの品種 ③カカオとチョコレートの工程です。

①のカカオの原産地は、「カカオベルト」といわれる、北緯南緯20度以内、年間を通じて一定の降水量のある地域に限定されます。アフリカが約7割、中南米、アジア太平洋と続きます。国別では、西アフリカのコートジボワールが約4割、ガーナが約2割を占めています。カカオはフルーツの一種なので、その土地の土壌や気候がカカオの味や香りに影響します。近年、香りに特徴のあるカカオ産地別チョコレートが注目されているのもそのためでしょう。

②カカオの品種は、大別するとフレーバービーンズとベースビーンズに分けられ、フレーバービーンズの代表的な品種は、クリオロ種、トリニタリオ種です。これらは、特に香りが高いのですが、生産量が全体の約1割と少ないため、ベースビーンズとのブレンドに用いられるほか、カカオ産地別など特徴を打ち出したチョコレート製品に用いられます。

③の工程は、カカオ栽培、発酵・乾燥、焙煎、すり潰し、練り上げ(コンチング)と続く、カカオからチョコレートに至る工程です。ひとつひとつの工程が、カカオの香りや品質に影響を与えますが、この中でも、「カカオ発酵」はカカオが本来持つ香りを引き出す重要な工程です。    

チョコレートのおいしさのカギ「発酵」

発酵は収穫したてのカカオでしかできませんので原産地で行います。カカオの多くは小規模農家で栽培されており、農園内で簡易的な方法で行われることが一般的でしたが、近年は科学的見地に基づく発酵も行われるようになってきました。ピュラトスのサステナビリティ・プログラム「カカオ・トレース」では、発酵とそれに続く乾燥工程を独自のマニュアルに基づき一元管理し、最適な香りを生み出しています。

2段階の発酵工程

発酵は、収穫して数時間以内のフレッシュビーンズを用います。繰り返し使う木箱に投入し、麻袋はバナナの葉をかぶせて、酸素を取り込まない1次発酵(アルコール発酵)を行います。カカオ豆を覆うパルプ(果肉)に含まれる糖と天然の酵母が結びついて発酵し、アルコールと二酸化炭素を産出します。

続く2次発酵(酢酸発酵)では、木箱を入れ替えることで酸素を取り込みます。1次発酵で生み出されたアルコールと天然の酢酸菌が結びつき、酢とエネルギーを生み出します。

カカオ発酵が生み出す香り

これらの発酵の過程で、パルプが酸化しフルーティーフレーバー、フローラルフレーバーを生み出します。酸味はパルプが酸性化することで生み出されます。一方、2次発酵でエネルギーが発生することで、pHが下がり、カカオニブに含まれる酵素が活性化します。これにより、カカオニブの成分であるテオブロミン、糖類、たんぱく質、ポリフェノールが分解、変性し、苦味、チョコレートフレーバー、ナッティーフレーバーをもたらし、渋味の軽減にも作用します。この発酵工程は、季節やカカオの状態により温度や時間を適切にコントロールし、平均して5~7日間かけて行います。その後の乾燥工程により、生み出された香りの元を閉じ込め、焙煎やコンチング工程で引き出し、最終的なチョコレートの香りが決まります。

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香りを生かす

このように、カカオ発酵を丁寧に行うことで、香りのポテンシャルを十分に引き出し、芳醇なチョコレートに仕上げることができます。そのチョコレートにどのような香りが含まれるか、テイスティングする際に鼻腔から立ち上る香りに着目し、その香りを生かした食材との組み合わせを楽しんでいただければと思います。複雑なチョコレートの香りをわかりやすく分析するツールとして、ピュラトスでは「シラノフレーバー」をご用意しています。

カカオ・トレースにおけるカカオ発酵についてのムービーもぜひご覧ください。
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